2013年 12月 09日

喪失の国、日本

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喪失の国、日本 M・K シャルマ著

何年か前に母から「最近日本にインド人のコンピューター技師が増えてきたのよ」と話を聞いたときに「へぇ」と思ったのですが、普段からインド人だらけの国に住んでるので、特にどうとは思いませんでした。
でも考えてみたら日本なんて言葉も文化も違うし、よく日本で働く気になったなぁ、、、とちょっと不思議な気もしました。
その後すっかりそんなことは忘れてたのですが、先日友人が「この本、面白いわよ」と貸してくれたのがこちら。




この作品が初めて世に出たのは98年のこと。
丁度私がイギリスに留学中の頃でした。

90年代のバブルの時期、イラン人の出稼ぎ労働者が突然増えて、上野でよく「テレフォンカードいらないかー?」と売ってるのを見かけることが多くなり、日本にも外国人が随分増えたな、なんて思ってたんですが、丁度そんな時期にこの著者のインド人シャルマ氏は東京に滞在していました。

インドと聞いて、日本人だったらどんなことを想像するでしょう?
私だったらまずやっぱりカレー(笑)
後はカースト制とかタージマハールとかマハラジャとかでしょうか。

留学時代、大学の先生に聞いた話なのですが、同じクラスに2人のインド人留学生がいたのですが、授業中発言するのはいつも決まった一人だけ。
もう一人はだんまりを決め込んだままだったそうです。
エッセイやテストでは存分に才能を発揮するのに、なぜ授業中だけは黙ったままなのか、、、ある時先生はだんまりを決め込む生徒を呼び出して訳を聞きました。
すると彼は「もう一人のインド人は自分よりも上位カーストなので、授業中に口を利くことは許されない」と言ったのです。
正直その話を聞いて私はびっくりしました。こんな民主主義が発達した世の中でいまだにこんなことが許されているなんて!
でもそれって自分の周りでは、と言う話で、伝統文化が根強く残るインドでは極めて当たり前の事だったんですよね。

と言うことで、この本の中でもカースト制について触れられています。
興味深かったのが日本人駐在員が床に落ちた書類を自分で拾ったら、周りのインド人社員が自分たちよりも下位カーストだとみなして、その日本人に対してとてもバカにした態度をとったと言う話。
自分で書類を拾うのが普通な日本ですが、インドでは拾う係りのカーストの人間がいるんだそうです。
駐在に行く際には相手国の文化をよく知ることが大切だ、と言う挿話でしょう。

日本の進んだ文化、便利さに驚きつつ、かつて誰しもが持っていたであろう大切な何かを失いつつある日本人について思いを馳せるシャルマ氏。
この本を読むことで自分自身、忘れていた何かを思い出させてもらったような気がします。

残念なのですが、古本でしか現在手に入らないこの本。
今の時代だからこそ、もっと多くの日本人に読んで貰いたいな、と思います。

本当の国際化、とは一体何なのか?と言う根本的な問題の答えをこの本の中に見ることが出来ます。
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by jamieoliverlove2 | 2013-12-09 00:00 | Book Club


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